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空乃鴉が運営するブログサイト。ノベル中心。
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ZWEI HERZの序章と言われるお話。
こんな物語を一度書いてみたかったんですよw
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一つ、また一つと光は踊り草木へと移り止まる。
昼間嫌でも感じさせる地獄のような暑さは嘘のよう・・・。
まるでバリアーが張られているように、ギラギラ照りつける太陽からの打撃は受けていなかった。

しかしここには魔物が住み着いているとの噂が立っていた。
魔物・・・それは人の心に巣を作り、内部から食らい命を奪うと言う恐ろしい生き物。
そんな噂を知ってなのか、それともただ迷い込んだだけなのか、一人の少女が入り込んできた・・・。

夕日のように輝く長い髪を束ね、半分隠している前髪の奥からは漆黒の瞳が覗かせていた。
服装は丈夫で身軽な鎧を身につけ、腰には持つことが出来るのかと疑える長く太い長剣が鞘に納まっている。
そして肩からかけている小さなカバンには、怪しげな小道具がいくつも入っている・・・。



少女の存在に気がついた、闇に身を潜める魔物たちは目を輝かせていた。
久しぶりすぎる獲物であり、それにこんな美味しいこと間違い無しの少女である。

魔物は人間の心に巣を作り食らう性質があると言ったが、それもそれぞれ好みがある。
大人で成人以上の者のみが居れば、特別な思いがない場合であればほぼ興味は示さない。
しかし純粋な心持をしている時の、10代前半辺りの子供と見られている人間は魔物にとっては、美味しいご馳走としか言い様が無いほどである。

そして・・・今の魔物たちは久々の獲物に少女が操る長剣など目に入っていなかった。



その中・・・同じく獲物を狙い影から様子を覗う魔物がいた。

しかしその魔物はそこら辺に居る魔物とはオーラに桁が違っている。
漆黒で立派な布で身を隠し、フードの中から覗かせる・・・白過ぎる肌に不気味な金色の目。
背から生やすのは蝙蝠のような黒い翼、そして魔物が笑えば目に映る鋭い牙。
子供たちが手にするならば一目で分かる、ヴァンパイアと言う魔物であった。



深き森の中で、魔物たちに歓迎されていると真っ先に気がついていた少女は故意に隙を見せる振りをした。
身を守る為に肝心な長剣などは手にかけないまま、呑気にカバンからカビ生やしたパンを手にする。



「私に一番最初に手を出した魔物はこのカビ生やしたパンをプレゼント~♪」



こんな間抜けた声を聞き、警戒心のない魔物であればチャンスと誰もが思うだろう。
腹を空かせて餓死寸前である状態を知っているかのように、少女は口の端を上げて笑みを漏らした。
我慢がピークに達した魔物は木の陰岩の陰から風のような速さで少女を襲い掛かった!

その行動に待っていましたと言わんばかりに少女は
先着一名様と宣言していたパンを思いっきりその魔物に放り込んだ。
投球ももの凄い速さで、未だ様子を覗うヴァンパイアは「ほぅ・・・」と関心した声を漏らした。

しかし口に放り込まれた魔物は満足などしていられない。
期待していたものが腹に入らないと気が済まなく、それに馬鹿にされたことから頭に血が昇ってゆく。
襲う魔物たちは懸命に少女を捕らえようと、気合入れるために唸り声を発した。



「うーん・・・この森にある泉を案内して欲しかったんだけどなぁ~。」



少女は呑気にそんなことを言い、本当に困った表情を見せている。
だが少女は襲ってくる魔物の行動を全て見破り、とんぼ返りや魔物を踏み台にして蹴り飛ばし避けていた。
腰につけている剣は未だ用無しである。

少女が考え事をしている間に魔物たちで被害者が続出し
中級と認められている魔物が襲ってもゴミのように扱われるオチである。

ヴァンパイアが少女の力を見て口笛を吹くと、一瞬少女と目が合ったような気がした。
この少女は確かに純粋すぎる心を持ち、魔物にとってはご馳走レベルである。
しかしヴァンパイアは知っていた、この少女の企みを・・・。



純粋な心を餌に魔物を魅了させ
そして人間とはずば抜けた力で倒す『クルス(剣の舞)』と言う存在であった。



トラップにまんまと引っかかった魔物は油断し、儚く散っていく。
しかも長剣も使用せずにやられていくその光景は何とも間抜けだと思わずには居られなかった。



「そこにいるヴァンパイアさんは知らないのかな~・・・?
 この森にある泉に案内して欲しいのー。」

「・・・・・・。」



いつの間にか彼と少女以外の気配が綺麗に消えている・・・。
積み上がった魔物の上に一人少女は踏みつけ、何とも無邪気な表情を浮かべた。
少女が探す泉については勿論、このヴァンパイアは知っていた。

この深き森に降る雨を全て浄化し、神聖な雫となりそれが集まり溢れるる泉となった。
その泉には、水龍を操る女神が居ると言われているが、それは定かになっていない。
そして、その泉ではもう一つの場所ともなっている・・・。



魔物と人間が結ぶ・・・唯一の契約場所・・・。



まさかと彼が思った時にはもう遅い・・・。
目の前に居たはずの少女がいつの間にか姿を消し
代わりに背後に風が吹き抜けて同時に笑い声が聞こえた。



「ねぇ・・・私と契約を結んでみない?」



その一言が・・・全ての始まりであった・・・。
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空乃 鴉
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これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。

嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
コメント
[01/07 結音]
material by:=ポカポカ色=
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