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空乃鴉が運営するブログサイト。ノベル中心。
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どこかの森で出会った恋人たちのお話。
参加してるサークルのお題「冬」をテーマにしました。^^
※この話では少女と吸血鬼は登場しません。
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今は冬・・・辺りのものを全て吹きつけ
そして凍死させるような勢いで雪と風は荒れ狂い嵐となっていた。
雨の時には傘となってくれるここ、深い森も流石に吹雪相手には敵でもない・・・。

雪で深い闇閉ざされたこの森に、一筋だけ不気味な光が通る。
その光も儚く、直ぐに雪へとさらわれ消え去ってしまうものだが・・・。

俺の前に現る、影に支配された者は幼馴染の女性であった。
しかしその幼馴染も会わない間に面影を無くしたものだ。
「久しぶり」と声をかけようとしたが、危うく「初めまして」と言いたくなったほどだ。



「ロベルト・・・貴方、随分昔にギルドを立てたのですって?」

「それも随分今更ですねぇ。」



女性からの第一声はあまりにもどうでもよく
更に言えばかなり昔の出来事で、俺は思わず苦笑した。
しかしそんな反応も女性にはピクリとも表情を動かす事も無い。

まるで・・・一種の人形の様だった・・・。



「それでは此方から質問しますが、貴方は何故俺の前に現れたのですか?」

「当たり前でしょう?貴方を『愛し』に来たのですよ。」



白い肌に紫色に塗られた口紅(紫じゃ口紅と言っていいのか分からないですが・・・)をゆっくり動かし、そして不気味な笑みを含みながら言った。
その『愛す』言葉もやり方は2通りあると、誰もが知っていることだろう。
無論、俺も知っているものである。

深緑の自分の髪を掻き上げ、呆れた様に首を振った。
女とは・・・分からない生き物だ。



「聖夜に襲うとはいい度胸ですね、子供たちが待っていると言うのに。」

「相変わらず子供が好きなのね、ロベルトは。」

「サラも相変わらず子供嫌いですねぇ。」


サラと呼ぶ女性もつられるように苦笑し、しかし目は笑っていない。
何を思っているのか、やはり俺を狙う方針は変わっていないらしい・・・。

聖夜、それは子供に喜びを、男性に苦労を、女性に愛情を与える日である。
っと言うか、元々女性に興味が無い俺で敵を回しまくったツケが回っただけなのか・・・。

どうやらサラは俺を痛めつけて振り向いて欲しいだけらしく
早速と言わんばかりに腰に身につけている剣を引き抜いた。



「やると言うのでしょうか?」

「私が現れても愛さないと言うのなら・・・私が愛してあげる。」

「・・・やれやれ・・・、だから俺は女がきら・・・。」

「黙れえええぇぇぇ!」



その瞬間、サラは豹変し顔を険しく、醜くしわを寄せた顔をし猛突進してきた。
叫びは森の外にも軽く漏れるかのよう、鋭く、そして悲しく響いたものである。

吹雪が邪魔していると言うのに操る瞬発力、速さ、力などは確かに昔よりも鍛えられた感じはする。
大人のレベルでは確かにこれは強いと言えるだろう。
むしろトップクラスへ進んでも可笑しくない。
しかし・・・。



―――シュンッ!



サラの刃は風を斬った。
俺はその背後で、軽くサラの背を押す。



「・・・っ!?」



不意の衝撃にサラは思わず刃を手放し
真っ白に染められた地面の中に悲しく白銀の光が発せられた。
そして微かに聞こえたすすり泣きらしき声・・・。



「残念ながら、子供たちの力を見ていると
 貴方の動きは鈍っているようにしか見えません。」

「・・・・・・。」

「但し、俺が貴方を愛すようになる方法なら教えても構いません。」



そう言うと、今まで涙を流していた『彼女』はハッと顔を上げ私を見た。
その眼差しは期待と、そして熱い想いを込めたものである・・・。
『彼女』の期待を裏切らないと・・・証拠を見せるようにと私は微笑んで見せた。



「この日・・・俺の子供たちを愛してくれたのなら・・・。」



すると・・・サラと言う名の人形に魂が入り込んだ・・・。
嬉し泣き・・・体温が伝わり、頬に貼りついた雪は・・・呪縛は溶け始めていた・・・。

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空乃 鴉
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これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。

嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
コメント
[01/07 結音]
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