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空乃鴉が運営するブログサイト。ノベル中心。
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「私の神様」の終章です。
騒がしい朝で見守っているのは?
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1秒1秒、時を刻み知らせる時計は既に爆音時間を通り越していた。
爆音ターゲットとなる奴は未だ夢の中で、だが起こすにも針を戻すことなど出来ない。
(早く起きんかこのカス!)っと暴言を吐いているのは言う間でも無い・・・。
静寂と寝息が見事なほのぼの感を出しているが、逆に腹立たしい。



その時、己では無くどこからかドアを乱暴に叩く音が鳴り響いた。
ドアを叩くのは男のような声で低い、まぁ聞き慣れてはいる・・・。
チャイムも同時に鳴り、全く・・・朝っぱらから良い近所迷惑なことだ。



『おいー!そこにいるのは分かっているんだぞ!はよ開けろゴラァ!』
(どっかの借金取りじゃねぇんだからさ・・・。)



そう思いながらもカチカチと、1秒1秒時を刻むだけのただの物体となっている。
そんな借金取りペースで1分後、ようやく目の前にある毛布が動き出した。



「うーん・・・?目覚しにヴォイス機能付けた覚えはにゃいわよぉ?」
(駄目だ・・・完全に寝ぼけてる・・・。)



行動に急かすような様子も無く、相変わらず借金取りのようにドアをガンガン叩かれているが・・・。何も言うことが無くなったのか拳で叩く音しか聞こえなくなってきた。
ネタが無くなったと言え・・・頼むから正直に言ってドアを開けてもらえ・・・!



念が通じたかのように起きた奴は毛布を引きずりながら玄関へと向かった。



「朝からうるさくて迷惑なんじゃドアホ!」
「ゴフッ!」



奴は素早くドアを開け、男の襟首をつかむと同時に思いっきり顔面へ拳が当たる。
多分アレは鼻辺りが無事ではいられない・・・。
突如訪問してきた男が静かになり、再び平和な静寂に包まれた。



「あー・・・、大遅刻しているからこのまま休んでもいいかなぁ。」
「アレ?俺が迎えに来た意味が無くね?俺泣くよちょっと?」
「だったら泣けばいいじゃないのよ、泣き虫は神様に嫌われるよ。特に男は。」



相変わらずの毒舌吐きである奴は、本気で泣きそうな男へピシャリと言う。
あの爆音で眠気が吹っ飛んだ奴だが、無理矢理起こされると機嫌が最悪になっていた。
まぁ女と言う者は大体そうかもしれないがな・・・。

奴は台所の電気をつけた時、何があったのか暫く石のように固まったのが見えた。



「どうしたー?」
「あー、そうだそうだ。昨日夜にオムライスを作って、朝に食べようとしたんだった。」



独り言を呟くようにつらつらと言葉を並べて、奴は自分で納得した。
男は頭にハテナマークを3つ程付けて首を傾げたが、直ぐに空気中へと溶けた。
オムライスを見るなり男は歓喜の声を上げるなり、奴に殴られ気を失った。



「アンタの分なんて無いわよ!自分で作って食べな!」










俺は神様、『奴』の神様だ。
そして今俺は、奴が視線に入れた目覚まし時計にいる。
奴は気がついているか、俺にも分からないが・・・。

あと、『奴』が手にしている皿の上に乗っているオムライス。
あれは俺が作った物である。最近『奴』は元気が無さそうだったからな・・・。

あの満月の日の散歩で、俺は別れを告げたのだがまた戻ってきた。
戻ってきた事は『奴』に内緒でいたのだが・・・。










え?何で戻ってきたんだって?
そりゃ、俺は『奴』の神様だからさ。
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空乃 鴉
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自己紹介:
これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。

嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
コメント
[01/07 結音]
material by:=ポカポカ色=
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