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RPG探偵団、記念の第0話。
個性溢れるゲーマーが集う夜に・・・。
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RPG探偵団、記念の第0話。
個性溢れるゲーマーが集う夜に・・・。
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全てはここから始まった・・・。
人類の戦争、研究、憎悪と言う闇から生み出した悪魔。
自業自得と分かっていたものの、未来へ・・・力を貸してほしいと賢者は言う。
剣と魔法を巧みに操り、この世最大の闇を打ち払い平和にすることが目的であった。
あった・・・が。
「そこの風変わりな魔術士さん、上級魔力薬を安売りしているけどどう?」
「うん?」
多数のプレイヤーが集まる中、一人の女性が男に話かけた。
女性が己に声をかけていると判断するのに数秒かかったが、その後足を止める。
男はヒョロリと頼り無さそうな体格で、綺麗な茶髪に瑠璃色の瞳をし、いかにも人好しそうなオーラを漂わせている。これは商売をする人も目を付けざるを得ないだろう・・・。
茶髪の男は、女性が店で並べた商品を見るなりすぐさま頭を下げた。
「スミマセン・・・俺金欠なもんで・・・。」
「あら、そうなの・・・。結構役に立つかと思ったんですけどねぇ。」
女性はそう言うと同じく頭を下げて次のターゲットを探し出し、男はその隙に逃げるように去る。
人込みを好まないのか、顔をしかめつつもその中から懸命に何かを探した。
すると目に止まったのは年老いた老婆である。
ローブを身につけた茶髪の男はすぐさまに駆けてはその老婆に話しかけた。
・・・・・・。
「なぁ、文香さんよぉ。」
「何か用ですか秀さぁん。」
今日のここ・・・探偵事務所ではいつものメンバーが揃っていた。
いかにもげっそりとした様子で、ノートパソコンに目を向ける男は呟くように呼んだ。
そして顔を上げたのは同級らしき男性・・・いや、男性に見える女性である。
パソコンについているマウスが滑る音、カチッと押された音が薄暗い空間の中で響く。
「何で最近露店じゃインフレ起こしているんだ?」
「あぁー、今回のアップデートでアイテム有無が変わったからねぇ。」
「逆に秀がその事を知ったら、もうテスト所じゃなくなるだろ?」
秀と呼ばれる男と、文香と呼ばれる女性との話に入り込んできたのは眼鏡を身につけた男だった。
秀は図星を突かれたのに痛みを感じたのか、顔をしかめつつ自分の髪を掻いた。
3名共同じ年齢に見えるのだが・・・いや、実際同じ年齢なのだが彼だけは違う制服を着ている。
それに普通は大学生の年齢になるはずが、秀にはまだ「テスト」と言う単語が残ったままなのだ。
そう言えばもう何も言うまい。
「まぁまぁ、詠二もその辺にしておきなよ。今回は秀も必死でやっていたんだからさ。」
「先輩・・・一つ言いますけど今回『も』頑張ったんですよ。」
「これは失礼・・・。」
ブルブルッと音がなり、それも何の音なのかは全員承知済みであった。
詠二と呼ばれた眼鏡を身につけた男は、軽くお辞儀をして再びノートPCへと視線を移す。
ブルブルッとまた、静かな空間で響き渡った。
そんな中、文香は顔を上げ呆れ返った声を出す。
「勇二先輩、相変わらずバランスボールに乗りながら・・・。」
「いやぁ、コレが気持ちよくってねぇ。意外と姿勢もよくなったりするんだよ。」
「リーマンとバイトを掛け持ち出来る理由も分かる気がする・・・。」
勇二と呼ばれた、歳は男は20歳辺りの年齢だろうか?
フラリと後ろへ揺れるとまたブルッと音が鳴った。
彼が跨いでいるのは白く大きなボールなのだが、それは世間でも有名なバランスボールと呼ばれるものである。・・・そう、勇二はすっかりこのボールの虜にされてしまったのだ。
いかにも居心地がよさそうな、のんびりとした口調で文香に言うが誰も理解出来るまい。
「おい・・・静美、どういう事だそれは。」
静寂に支配されたと思えば、突然秀は顔を上げ怒りの色も含めた声で言う。
しかし返事は返ってこず、静美と呼ばれる少女はカタカタとパソコンのキーボードを打った。
詠二も勇二も文香も・・・画面を見れば、静美の名前ではないが画面の世界での名前が同じように打たれている。静美は少々笑いを含めながら指を動かす。
しかし、打たれ現れた文字に目をやった秀と静美以外は絶句した。
『お兄ちゃん、前回のテストの合計点は647点/700だったでしょ?』
『おまっ・・・!何でそれを・・・!』
『あと20点で私に勝てたのに・・・残念。』
秀は知っているのだ、静美・・・いや、静美は秀の妹であり、知らざるを得ない。
妹は生まれつき耳と喉に障害を持ち、伝えられず無音の日々を毎日送っているのだ。
通う学校でも伝えるのは紙に書いた文字かジェスチャー、そんな生活に飽き飽きしてると・・・。
それで努力を結果に結びつける手は、学生の9割は嫌う「テスト」で力を見せると決意した。
秀もテストはやれば出来る人である為、妹は挑発してやる気を起こさせたと。
しかしあまりの高得点パラダイスで、流石に勉強が出来る詠二でも肩が笑った。
「やっぱり次元が違うわねぇ、あの兄弟・・・。」
「あ!思い出した!」
「な・・・何よ突然。」
秀はガバッと顔を上げて、何やら嬉しそうな顔をする。
「折角先輩も休みでいるんだし、たまには皆で狩りに行こうぜ!」
「じゃ、そこに辿り着くまで秀が囮ねぇ。ハイ皆パーティー組んだ組んだぁ!」
「・・・アレ?俺イエスとも言ってないよな?アレ?俺魔術士なんですけど・・・。」
木枯しが吹く11月の最後の日。
午後10時頃の出来事であった・・・。
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マスター
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空乃 鴉
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非公開
自己紹介:
これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。
嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
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