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海竜物語第0話。
全てはここから始まるのです。
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もしも・・・今日から私は姫となりこの世界から消えるとしたら
もしも・・・今日から君は敵となり私の身を滅ぼそうとしたら
皆・・・全てこの歯車が動かしているんだろう
海竜物語 ~0話 夏~
海は青く、空も青い。私は何故境がはっきりと見えるのかと疑問に思って仕方が無かった。
そりゃこんなことを疑問に思うなんて、友人に言ったら「アホか」と言われるに決まっている。
ガードレールに腕をのせて、私はボンヤリと青い景色を眺めて考えていた。
私の名前は西条 華恋(さいじょう かれん)、高校に入ったばかりの15歳、ごく普通の女子高生である。
ただ普通でない、言わば変わったところがあることと言えば自然に関しては興味深々なのだ。
元々都会育ちで幼い心など知らずに育ち、田舎へと引っ越した途端に幼稚になったものだ・・・。
これでは変わっていると言うよりも可愛そうな目で見られそうな感じだが・・・。
「退屈だ~。」
「だったら少しはまともに授業を受けたらどうだ・・・?」
「!!・・・って真人か。」
ほんの独り言のつもりが、いつの間に背後に立って聞いていたのか金髪の男が呆れた顔でこちらに向いて言う。
彼は神藤 真人(しんどう まさと)、私が転校してきた時からずっと仲良くしている男友達である。
だからと言って彼氏と言う関係ではなく、惹かれ合いも全く感じない。
茶色かかった綺麗な金髪、学ランをワイシャツと共にだらしなくボタンを開けていて、それをつかんで暑そうにバタバタと生温い空気を送り込む。暑いんだったら学ラン脱げよと突っ込みたかったがあえて言わない。
私は学校の話など全く耳にしていないフリをして、またガードレールに腕をのせた。
その隣に、真人もまた私と同じように物体に身を任せた。
「真人ってさ。」
「あぁん?」
「無人島に宝があるって言うの、信じる?」
「はぁ?何言ってんだお前、何か悪いもんでも食ったか?」
「・・・・・・やっぱり真人にも通じなかったか。」
私は予想していた返答に分かっていながらも、少しがっくりと俯いた。
子供のような心は治まってくれない、どうもそんな自分にうんざりしていて仕方なかった。
「昔の心では同情出来るものの、今聞いたら馬鹿らしいよな。」
「へ?」
真人の何気ない呟きに、私は思わず顔を上げた。つまり、精神年齢離れすぎだろと言いたいのだろうけれども・・・。
しかし嬉しさも込み上がってくるものだ。
一緒に探すなんて行動にまでには出ない、ぼんやりと思う夢であるだけなのに・・・。
彼は海を見つめたまま私の頭に手を乗せてクシャクシャにした。何も言わずに・・・。
「ちょっと!だから髪をグシャグシャにしないでよ!」
「わりぃわりぃ、何かお前が子供にしか見えなくなってな。」
馬鹿にした声を全身に浴びせてきて、頭に怒りが昇った私は真人の背に蹴りをかました。
背骨がいい音出して、真人は苦痛の悲鳴を上げる。
学ランだから蹴り跡も目立っていないことを確認して、ダッシュでその場を去って行った・・・。
彼の口の端がほんの少し上がったことなど・・・全く気がつかずに・・・。
『上手くいったぜ、真志(まさし)。』
「・・・・・・。」
握り締める携帯電話の向こうは、狂い出したような笑い声を上げる兄が居た。
彼女を貶す言葉を吐き、「ざまぁみろ」などと『本当の兄』が暴言を吐く。
俺はそんな狂う兄をただただ黙って聞くことしか出来なかった。
『真志、今年の夏休みは愉快な光景となりそうだぜ。楽しみだよな。』
「真人、お前は1つ勘違いしていないか?」
『何がだ?』と聞く『奴』に返す言葉など無い。
不思議そうに聞いてくる『奴』の声を俺は口を閉じたままでいた。
俺と真人は双子の兄弟として生まれ、共に同じ道へと進んできた。
だがそれは『この世界』ではの話。
『向こうの世界』ではもう・・・俺は外れた正しい道を望んで進む事を決めたのだから・・・。
未だ問いかける『奴』へ浴びせる最後の言葉・・・。
「シーユー・・・ビューティフォーハーツ・・・。」
その瞬間、俺の手に収まる物体は灼熱の炎を見せ液体と化して姿を消した。
漣が聞こえる空間の中俺は目を静かに閉じ、眩しい空を仰いだ。
もう・・・尊敬する兄の心は戻ってこない。
もしも・・・今日から君は敵となり私の身を滅ぼそうとしたら
皆・・・全てこの歯車が動かしているんだろう
海竜物語 ~0話 夏~
海は青く、空も青い。私は何故境がはっきりと見えるのかと疑問に思って仕方が無かった。
そりゃこんなことを疑問に思うなんて、友人に言ったら「アホか」と言われるに決まっている。
ガードレールに腕をのせて、私はボンヤリと青い景色を眺めて考えていた。
私の名前は西条 華恋(さいじょう かれん)、高校に入ったばかりの15歳、ごく普通の女子高生である。
ただ普通でない、言わば変わったところがあることと言えば自然に関しては興味深々なのだ。
元々都会育ちで幼い心など知らずに育ち、田舎へと引っ越した途端に幼稚になったものだ・・・。
これでは変わっていると言うよりも可愛そうな目で見られそうな感じだが・・・。
「退屈だ~。」
「だったら少しはまともに授業を受けたらどうだ・・・?」
「!!・・・って真人か。」
ほんの独り言のつもりが、いつの間に背後に立って聞いていたのか金髪の男が呆れた顔でこちらに向いて言う。
彼は神藤 真人(しんどう まさと)、私が転校してきた時からずっと仲良くしている男友達である。
だからと言って彼氏と言う関係ではなく、惹かれ合いも全く感じない。
茶色かかった綺麗な金髪、学ランをワイシャツと共にだらしなくボタンを開けていて、それをつかんで暑そうにバタバタと生温い空気を送り込む。暑いんだったら学ラン脱げよと突っ込みたかったがあえて言わない。
私は学校の話など全く耳にしていないフリをして、またガードレールに腕をのせた。
その隣に、真人もまた私と同じように物体に身を任せた。
「真人ってさ。」
「あぁん?」
「無人島に宝があるって言うの、信じる?」
「はぁ?何言ってんだお前、何か悪いもんでも食ったか?」
「・・・・・・やっぱり真人にも通じなかったか。」
私は予想していた返答に分かっていながらも、少しがっくりと俯いた。
子供のような心は治まってくれない、どうもそんな自分にうんざりしていて仕方なかった。
「昔の心では同情出来るものの、今聞いたら馬鹿らしいよな。」
「へ?」
真人の何気ない呟きに、私は思わず顔を上げた。つまり、精神年齢離れすぎだろと言いたいのだろうけれども・・・。
しかし嬉しさも込み上がってくるものだ。
一緒に探すなんて行動にまでには出ない、ぼんやりと思う夢であるだけなのに・・・。
彼は海を見つめたまま私の頭に手を乗せてクシャクシャにした。何も言わずに・・・。
「ちょっと!だから髪をグシャグシャにしないでよ!」
「わりぃわりぃ、何かお前が子供にしか見えなくなってな。」
馬鹿にした声を全身に浴びせてきて、頭に怒りが昇った私は真人の背に蹴りをかました。
背骨がいい音出して、真人は苦痛の悲鳴を上げる。
学ランだから蹴り跡も目立っていないことを確認して、ダッシュでその場を去って行った・・・。
彼の口の端がほんの少し上がったことなど・・・全く気がつかずに・・・。
『上手くいったぜ、真志(まさし)。』
「・・・・・・。」
握り締める携帯電話の向こうは、狂い出したような笑い声を上げる兄が居た。
彼女を貶す言葉を吐き、「ざまぁみろ」などと『本当の兄』が暴言を吐く。
俺はそんな狂う兄をただただ黙って聞くことしか出来なかった。
『真志、今年の夏休みは愉快な光景となりそうだぜ。楽しみだよな。』
「真人、お前は1つ勘違いしていないか?」
『何がだ?』と聞く『奴』に返す言葉など無い。
不思議そうに聞いてくる『奴』の声を俺は口を閉じたままでいた。
俺と真人は双子の兄弟として生まれ、共に同じ道へと進んできた。
だがそれは『この世界』ではの話。
『向こうの世界』ではもう・・・俺は外れた正しい道を望んで進む事を決めたのだから・・・。
未だ問いかける『奴』へ浴びせる最後の言葉・・・。
「シーユー・・・ビューティフォーハーツ・・・。」
その瞬間、俺の手に収まる物体は灼熱の炎を見せ液体と化して姿を消した。
漣が聞こえる空間の中俺は目を静かに閉じ、眩しい空を仰いだ。
もう・・・尊敬する兄の心は戻ってこない。
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空乃 鴉
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非公開
自己紹介:
これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。
嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
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