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空乃鴉が運営するブログサイト。ノベル中心。
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続きもしない半端物。
あるオリジナルBGMを聞いての小説であります。
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私は全てを失った。
悪魔が人間界にとてつもない壁を作り、登り越えようとした全ての者を潰した。
これは夢だったのかもしれない。しかし夢ではあって欲しくないものでもある。



ある日、とうとう耐えられずに武器を手に取る。私はそれを黙って見ていた。
反対するつもりでもない、しかし今まで怯えていた存在を、自らの手で打ち倒す事が出来るのか?
ただそう思って、村人たちを見ていた。

その出来事は衝撃的だったのかあっと言う間に世間にまで知り渡り、知った者は同じく武器を手に取る。
そして人々は、大きな川となったように悪魔の巣と言われている荒野に流れていった。

私は身を守る鎧と剣があれば充分であった。
元々騎士の経験者である私であったが、軍師までには首を振った。



始めは予想外だったのか・・・数に圧倒され悪魔は次々に葬られたが
後に人々は悪魔の力で徐々に押されていった。
戦車も潰され、大砲も潰され、地に吐き気を覚えるほどの地獄を描いていった。
何と言えばいいだろうか・・・?これは血の海としか言えない。

立ち上がった村人の顔は1つも見当たらない。私は妙な胸騒ぎを覚えた。
村は廃と化する未来など、想像したくないものだった。

翼を持つ骨の竜は止めと言わんばかりに地ギリギリの低空飛行をし、翼を広げて人間の首を飛ばした。
行動を3秒前から察した私は身を地に付け何とか避けられたが、地に付いては人間の血のシャワーを浴びざるを得ない。

一気に私の足元は血の海となり、身も震えるような悲鳴が耳元に響く。
血の海の先を見れば、全く減っていない悪魔の数に絶望しかけた。



私に光を遮る影が出来、私は素早く振り返りバックステップを踏んだ。
ここに来て初めて剣を鞘から抜き出し、舌打ちを鳴らす。
どうやら・・・この戦で無傷でいられるのは不可能らしい。

腐った人間の肉を纏った腐人間(ゾンビ)は私に牙を向けて突進してくる。
その突進を利用しようと私も助走をつけ駆け出した。
そして地をタイミング良く蹴り、宙に浮いてゾンビの頭部に手を置いて背後に立つ。
心臓に狙って剣を突き刺し、声にならない悲鳴を上げてぐしゃりと地に沈んでいった。



しかし周りの悪魔も見ていたのだろう。視界を見渡しても悪魔だけとなる。
じりじりとヨダレを垂らして寄ってくる・・・運が悪い事に逃げ道らしい隙がない。

いくら私でもこんな多数相手には出来ない・・・。
私は死を覚悟し、剣を握り無謀に一直線に駆け出した時だった!



どんよりと曇るこの戦場に、希望の光が現れた様だとしか表現出来ない。
誰かによって込められた一筋の光が、音もなく悪魔を切り裂いた。



「光は悪を許さず、人は血を許さず・・・。」



今でもその言葉が心に残る・・・不思議な圧力を感じた。
私は少しの間唖然とする。昨日見たはずの光がとても懐かしく思える・・・。

光を生み出したのは、私と同じ年の青年だろうか。
しかし外見は全く違う、銀色に光る鎧を纏い、立派で鋭そうな2本の剣を握る。
それに何処かの国章なのだろうか?奇妙な印が付けられたマントを羽織っている。
綺麗な金色がかかったスカイブルーの髪に深海のような深い青の瞳・・・。
私はただただ不思議に眺めることしか出来なかった。

二刀流を使いこなす騎士など・・・何年ぶりに見ただろうか・・・?

私の存在を知って助けたかのような光景である。
彼はニッコリと私に微笑みかけ、心の隅まで染み渡るような優しい声で言う。



「遅くなってしまったが無事で何より・・・。」

「貴方は・・・?」



まるで私のことを知っているかのような口調であった。
まだ心の底がパニックになった状態であり、上手く話すことが出来ない・・・。
彼はまた口を開こうとした時、悪魔からの威嚇声が耳に入り顔つきが険しくなった。



「お喋りしている暇ではないですね・・・、答えは貴方から理解して頂きましょう!」

「はぁ!?」



思わず私は声を上げてしまい、自分で慌てて口を押さえた。
相変わらず見慣れぬ顔の騎士は微笑みながら、だが目は全く笑っていない・・・。
睨みつける視線の先には・・・とても絶やすことの出来ないほど多い悪魔たちがいる。



『光絶えぬ世界の真のつるぎを・・・!』



彼はそう呟くと両手に握られている剣を斜めにし、疾風の如く悪魔の群へと突っ込んだ。
時が流れるにつれて徐々に剣からの発光が強くなる・・・。
これは彼の身にまとう気が剣に集まっているのだろうと、過去の経験から察した。

・・・過去・・・?まさか・・・!



「お前・・・!!」



そう叫ぶと同時に、彼は光の刃で悪魔を次々に切り裂き倒していった。
囲んでいた大量の悪魔が、放たれた刃2つで全滅する。
気を光へと変換するだけでも、充分に力を必要とされているはずなのだが疲れも顔に出ていない。
余裕を満ちた笑みを私に向けた。

過去に出会い、共に戦った事がある無二の友人だ・・・。
そんな友人の顔を忘れるとは・・・時も随分経ったものだと私は思った。



「やっと思い出したか・・・。」

「・・・聖騎士にまでなっていたとはな・・・。」



私は懐かしむ声をかけながら、心の中で呪文を並べた。
彼と同じような、しかし作りは全く違うと研究された私の気が光となり、彼の体を包み込む。
すると剣は突然白い光を放ちだし、冷静になりながらも心は驚く。

光は人間に勇気を与え、そして闇の活動を鈍らせ殺すことが出来る。
それを生み出す私と彼、そして刃へと姿を替えることが出来る彼・・・。



私たちだけでこの場を救う事が出来るのなら・・・!
光を溜める彼の力は次第に強大となり、周りにあふれ出すオーラに私は目を開けていられなかった。



「闇と染める悪との戦場・・・。」



彼は力を込め、両手を大きくクロスした。
静かに呟く、光の神への祈りは、とても美しかった・・・。



「歴史誇る聖戦となれ!!!」



強大な刃が荒野を走る!
風より早く光のように走る刃は逃走を許さない!
この荒野全てに居る悪魔を全て切り裂き消し去った・・・。
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空乃 鴉
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自己紹介:
これでも学生。
趣味は絵や小説を書くこと。

嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←
コメント
[01/07 結音]
material by:=ポカポカ色=
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