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長らくお待たせしました!海竜物語第3話です。
何か・・・そんな話が進んでいないような・・・;
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貴方だけの世界とは限らない。
そこは私だけの世界であり、あの人だけの世界でもある。
バーチャルゲーム・・・そこに連れ込まれたのはまだ知らない・・・。
海竜物語 ~3話 現~
距離が離れすぎているからか、私の視界からではボンヤリとだが人の影が見えた。
それも一人は船の甲板から、そしてもう一人は見張り台らしきところから現れた。
クロウから手を引かれ、徐々に距離を詰めていくとそのシークレットもハッキリとしてくる。
あちらも私達の存在に気がついたのか、ふと振り返るような仕草をしているのが見えた。
クロウはクルリと私の方へ振り向き、安心させるように微笑む。
それと同時に不思議に彼の握る手が緩み、思わずドキリとした。
置いて行かれる訳でもないのは分かっているのだけれども・・・。
「見えますか?甲板にいるのはエンジニア・料理・洗濯など家事もオールオーケーな人。
そして見張り台から見える人は頼りになる騎士である人です。」
「へぇ・・・本当に3人で海賊をしているんだ・・・。」
「・・・そうですよ。」
しかし私の呟きにクロウは、何故か少し間を空けてから頷いた。
そう話している内にもう船で太陽の光が遮られており、私はピタリと足を止めた。
浜に上がった船はとても大きく、国から奪ったと言っても納得がいく。
立派すぎる船ではあるものの、これはどこの海賊が見ても驚くに違いない。
もう視界にはっきり入るほど近くなったここで、上の甲板にいる男が声をかけてきた。
「お前・・・一度どっかで会ったことねぇ?」
「え・・・?」
クロウのようにバンダナはつけておらず、サラリと零れる海のような紺色の髪。
まるで女の子のように見えたが男であるらしい・・・。
目が悪いのか、運動には不向きの眼鏡をかけており
更に肩からポケットが多い小道具を入れるのに便利なカバンがぶら下がっていた。
彼の問いに私はきょとんとし、すると彼は苦笑した。
女とは思わせないのはやはり・・・少々男と思わせる低い声からか。
「ゴメン、前にも似たような奴がいたからつい・・・。」
「海賊は出会いも多いのね♪」
自分の間違いを気にしているのか、彼は頭をポリポリと掻いていた。
私は気にしないように首を振り笑えば、彼も笑顔で返してくれた。
なんだか・・・ゲームでよくある愉快な仲間が海賊でいると思えば気が楽である・・・。
「あの方がエンジニアであるジャスティスです、そして見張り台にいるのはマーシュですよ。」
クロウは私の傍に来て言う。
するとジャスティスと呼ばれた男は、まるで先生から名前を呼ばれた時のように手を上げては笑う。
そう言うのは、私がここに来て喜んでいるのか、それともふざけているのかは不明だけど・・・。
しかし思えば見張り台に居る・・・マーシュと言う人は気がついていないのか微動さえしない。
私が思ったことを再び察したのか、クロウはふと顔を上げて指をさした。
お互い言いたいことが分かったのか、ジャスティスも共に見上げて顔をしかめた。
「マーシュ!!てめぇ客が来たってのに居眠りとは良い度胸しているじゃねぇか!!」
「・・・え、寝てたの・・・!?」
「マーシュはあそこ(見張り台)で寝るのが日課であるのですよ・・・。
全く・・・、襲撃とかあったらどうなるか毎度ヒヤヒヤしますよ。」
ジャスティスはズカズカと甲板から見張り台へ通じる梯子を使い、怒声を浴びせつつ登り。
私の傍にいるクロウは溜め息混じりに、飽きれたように首を振り言った。
でもこんな暑くて太陽の光が眩しい時によく眠れる・・・と私は別の意味で感心した。
本当に私は・・・武器も守りも当たり前のようにある世界に来てしまった。
だけどそれは、まるで本の世界・・・アニメのような世界に来たようで。
胸が高鳴ると言わなければ嘘となりそうだ。
もう・・・今頃島にいる友達や先生のことなど頭に無い。
まるで・・・元からこの世界にいたかのように・・・。
そんなことを傍にいる人が、静かに頭の中へと情報が流れていることも知らずに・・・。
私は今後共に歩む仲間を微笑んで待っていた・・・。
趣味は絵や小説を書くこと。
嫌な事が目の前にあるとネタの神様が降臨します。神様の存在はコレしか信じられない駄目人間←